アウトドアーズの海成と、ネクサスドリーマーズの築山 諒真のシングルマッチ。
私が1つの試合の生成絵を少しずつ長期間に渡って公開する企画がありまして、
その後に立板三 様から絵に合わせた小説をご提供いただいた作品になります。
一部、フィクションな内容も含まれており、ファイプロの興行やストーリーと異なる点もございます。
※絵はAI生成です。小説はAI生成ではありません。
第五十一幕:ジャーマンスープレックス
【諒】(今だっ!! 逃がさない!!)
凄まじい速さで背後に回り込んだ諒真は、海成の腹部に両腕をがっちりと巻きつける。そのまま力任せに持ち上げた瞬間、海成は完全に虚を突かれた。

【海】(ヤロォ……!? くそっ、投げ技の直撃――やべぇ!!)
観客が一斉に立ち上がる。海成の表情に走る驚愕、それがリング上の緊迫感をさらに高めていた。
【実】「おっと!? 築山が海成を捕らえた! これは……ジャーマンの体勢だぁ!!」
【観】「いけぇぇぇ!! 決めろ築山ぁぁ!!」
しかし、通常なら華麗にブレーンバスターなどで魅せるところ。だが、諒真の腕は痛めたままだ。完璧なフォームで極めきれる保証はない。
【解】「ブレーンバスターかと思いましたが……いや、築山の腕の状態ではリスクが高いですね」
迷いは一瞬。諒真は己の代名詞ともいえる必殺の技へ賭ける決断を下した。
【諒】(これしかない……通じるかどうか――海成! 勝負だ!!)
つま先立ちでわずかに高さを稼ぎ、演出で巧みにごまかしながら――遂に得意のジャーマン・スープレックスを敢行する!
【実】「出たぁぁぁ! 築山のジャーマン・スープレックス!!」
【観】「うおおおおおっ!!!」
海成の体が大きな弧を描き、マットへ叩きつけられる瞬間、場内は割れんばかりの大歓声に包まれた。
第五十二幕:攻勢にでる諒真
【海】「あ、ちょ――お、おま……っ!!!」
叫びを最後まで紡ぐこともできず、海成の体は宙を舞い、そのまま後頭部からマットへと叩きつけられた。轟音がリングに響き渡る。諒真のジャーマン・スープレックスが炸裂した瞬間だった。

【諒】「だぁぁぁぁぁぁっ!!!」
技を極め切った諒真は、全身を震わせるように雄たけびを上げる。
その声に呼応するように、会場中が爆発するかのごとき大歓声に包まれた。
【実】「決まったぁぁぁ!! 諒真のジャーマン・スープレックスだ!! 海成、後頭部から背中まで、完全に叩きつけられたぁ!!」
【解】「これは強烈ですね! ただの投げではありません。高さと角度、そしてタイミングが絶妙に重なっています。消耗している海成にとって、この一撃は致命傷になりかねません!」
【観】「うおぉぉぉっ!!!」
【観】「やべぇ! 完璧に入ったぞ!」
【観】「これで決まるか!? 海成、大丈夫か!?」
観客席からは悲鳴にも似たざわめきと、熱狂的な歓声が渦を巻く。
マットに横たわる海成と、その上に立ち上がった諒真――二人を照らすリングライトが、戦いの緊張をさらに際立たせていた。
第五十三幕:朦朧となる海成
【海】「う、あ……あ……あ……」
【海】(や、やべぇ……! まずいの…食らっちまった……どうする、俺!?)
後頭部を強打した海成は、必死にロープへと手を伸ばすが、指先が震えるばかりで体がまったくいう事を聞いてくれない。

どうやら軽い脳震盪が起きているようだ。
【海】(こりゃ……だめか? 動けねぇ……今、リョーマがフォールして…きたら、多分終わりだな……けど、それにしちゃあ…仕掛けてこねぇがどうしたんだ?)
絶好の機会だというのに、追撃のフォールを仕掛けてこない築山を不思議に思い、海成が目を向けると、なんと諒真も倒れ込んだまま呼吸を荒げていた。
どうやらジャーマンスープレックスで多くの体力を使い、すぐにフォールへ切り替える体力までは残されていなかったようだ。
【実】「出たーっ! 築山のジャーマン・スープレックス!! しかし両者ダウン、フォールにいけない!」
【解】「築山の意地が生んだ一撃でしたね。けれど、フォールに行けなかったのは痛い。逆に海成に生き延びるチャンスを与えてしまいました」
【観】「リョーマぁぁ!!」
【観】「決めろー!!」
【観】「いけぇぇ!」
観客のボルテージは最高潮。場内は完全に揺れていた。
だが、勝負の行方はまだ決していない――。
第五十四幕:諒真の課題
【諒】(くそ……またダメか)
先ほどの攻撃は勝負を決めるのに絶好の機会だった。
諒真自身、それは身に染みて分かっている。
だが無理な体勢から放ったジャーマン・スープレックスで奪われたスタミナは大きく、海成からスリーカウントを奪うだけのフォールにはつなげられなかった。
長丁場になる試合でのスタミナ配分は、今後の諒真に課せられる大きな課題といえるようだ。
息を整えながら戦術を切り替えた諒真は、失ったスタミナを回復しつつ、逆に海成の体力を削る作戦に出た。
まだ完全に動きが戻らない海成の体を捕まえると、腕と足を絡めて力任せに締め上げていく。

【海】「あっ……ぐっ、うんぎゃあっ!! ああああああ!!」
【海】(こ、このバカ……! なんて怪力だ……俺の体を、引きちぎる気かよ! 先輩を少しは敬いやがれってんだ!!)
第五十五幕:スリーパーホールド
悲鳴とともに意識を取り戻した海成だったが、そこから築山の猛攻はさらに加速する。
今度は首に腕を回し、一気に締め上げを開始した。

――スリーパーホールド。
頸動脈を圧迫され、海成は急速に意識が薄れていくのを感じる。
【海】(あ……やば……これ……落ちる……わ)
試合や練習で何度も味わった“闇に引きずり込まれる感覚”が蘇る。
意識がストンと闇に落ち、視界が暗転していく。海成の意識は混濁し、完全に途切れかけていた。
【実】「おっとぉ! 築山、ここでスリーパーにいったぁ! これは危険だぞ!」
【解】「ええ、ジャーマンで削った直後にこの締め技。スタミナ切れを狙った築山らしい選択です。海成の意識が飛ぶのも時間の問題でしょう」
第五十六幕:極める諒真
【観】「うわあああっ! やばい、海成が落ちる! がんばれぇぇ!」
リング上では、諒真が怪力でもって絞め上げ、海成の体がぐったりと揺れる。場内には悲鳴にも似た観客の叫びが響き渡っていた。

【諒】(……よし、効いている)
海成の首を締め上げる諒真は、自分の攻撃が確実に相手を追い詰めていることに手応えを感じていた。
海成はデビューからまだ一年に満たない新人だが、その明るくバイタリティあふれるファイトスタイルで多くのファンを魅了し、所属する社会人プロレス団体〈アウトドアーズ〉の有望株として注目を集めている。
諒真にとっても、それは友人としてとても誇らしいことだった。
だが同時に、怪我でキャリアが停滞していた今の自分の力が、順調にプロレスラーとしてキャリアを積み上げている海成に通じるのか――そんな不安を、試合前からずっと抱えてもいた。
しかし今、この瞬間、確信できた。
自分の力は海成に通用する。いや、もしかすると……自分は海成をも超える才能を秘めているのではないか。
ほら見ろ。
その海成が、いま自分の腕の中で意識を失いつつある。
こんなか細い首など、これまで鍛え上げたこの鋼のごとき両腕があれば、いとも簡単にへし折れるのではないか――そんな錯覚さえ覚えるほどだった。
第五十七幕:カイセイコール
これまでダメージのある右腕を庇い、無傷の左腕を軸に締めていた諒真だが、ここで勝負を決めると判断し、ついに右腕に力を込める。

【諒】(さぁ、海成……ここで落ちてもらうぞ!)
締め上げられた海成の体は段々と力を失い、もがく手の動きも次第に小さくなっていく。
誰もが諒真の勝利を確信した、その時――。
【観】「カイセイッ! カイセイッ! カイセイッ!」
【実】「おおっと! 会場が大きな海成コールに包まれたぁ!」
【解】「ファンの声援が届きましたね。これはレスラーにとって最大の力になります」
観客の声が耳に届いた瞬間、海成の瞳に光が戻る。
【海】(まだ…だ…! こんな…ところで……負けを認めてたまるかぁ!)
【海】「ふんぐぐぐぐ……!!」
【諒】「な、何……!?」
築山の万力のごとき腕に絡め取られながらも、海成は意識を呼び戻し、マットに体を引きずりながら必死にロープへと手を伸ばしていく――。
【諒】(か、海成……! こんな力をまだ残しているなんて……いたっ!!)
築山の右腕に鋭い痛みが走った。どれだけアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されていようと、痛みを完全に消せるわけではない。
【諒】(くそ! こんなとこで、また……!!)
痛みの影響で海成の身体を押さえ続ける力が一瞬だけ弱まる。その隙を見逃さなかった海成は、必死に体をずらし、ロープへと手を伸ばして――ロープブレイクに成功した。

第五十八幕:反撃の海成
【諒】(そんな……ここまで追い込めたのに……! くそっ、海成め、しぶといな! ならば打撃戦で片をつける!)
諒真は動揺を振り切るように素早く判断した。
確かに海成は尋常でないタフネスを見せているが、先ほどまで組み伏せていたことで海成は大きく消耗している。
対して自分はスタミナを回復しつつあり、右腕の負傷以外に致命的な弱点はない――そう結論付ける。
【諒】「立て、海成! 止めを刺してやる!!」
諒真は海成の頭を掴み、無理やり引き起こす。
そしてふらつく海成の両腕をつかむと、勢いをつけてその体をロープへと振り飛ばした。
ロープに叩きつけられた海成が反動で戻ってくるのを見て、諒真は助走をつける。狙うは一撃で相手の首を吹き飛ばす強烈なラリアットだ。
【実】「おおっと――築山、ここでラリアットを仕掛けに行くか! スピードを乗せてます!」
【解】「ラリアットは肩や腕を振り抜いて相手の上半身をはたくように打つ打撃技です。命中すれば大ダメージになり得ますが、読み合いで外された時は隙も大きくなりますよ」
【観】「いけぇ! 決めろっ!!」「カイセイ、気をつけろー!!」
場内の期待と緊張が高まる中、諒真の拳が振り抜かれようとしていた――。
【諒】(これで終わりだ、海……えっ!?)
諒真の狙いは完璧に思えた。
だが、事態は彼の思い描いた通りには進まなかった。
【海】「甘いぜ、リョーマ! 俺はあの程度じゃ、くたばらねぇんだよ!!」
海成がドヤ顔を浮かべ、突進してきた築山のアゴめがけて強烈な顔面キックを叩き込む。

タイミングは絶妙、諒真の突進そのものが、キックの威力を倍増させた。
第五十九幕:逆転
【諒】「ぐあああああああっ!?」
【海】(ざまぁみやがれ! ちっとは効いたか!)
諒真の頭に強烈な衝撃が走り、ついにその巨体がぐらついてマットに膝をつく。
【諒】(こんな……海成、これを待っていたというのか……!)
海成の反撃はこないものと油断していた諒真は、カウンターをモロに食らってしまった。
想像以上にダメージが重く、諒真はすぐに動くことができない。
【実】「おおっと! 海成のカウンターが炸裂したぁー!」
【解】「突進してきた勢いを逆手に取った、見事な顔面キックです! これは効いていますよ!」
【観】「うおおおおっ! 返したぞ海成!!」
その瞬間を逃さず、海成は勢いそのままに脚を振り上げ、諒真の背中へ容赦なく何度も踏みつけを浴びせかける。ストンピングだ。

【海】「おらおらぁ! どうしたリョーマ、てめぇの力はこんなもんか!!」
【諒】「く、くぅ……!!」
諒真は悔しそうに呻くが、すでにスタミナは限界に近い。巨体を支えきれず、もはや反撃の力は残されていなかった。
第六十幕:削り合い
仰向けに倒れた諒真に、海成は素早くヘッドシザースを仕掛ける。焦って大技に走るのではなく、相手のスタミナをじっくりと削り尽くす作戦だ。

【海】(こいつ、パワーはあるけど意外とスタミナ少ないな……助かるぜ)
もし諒真が、このまま成長してスタミナと体力を兼ね備えたモンスター級のプロレスラーになったら――その想像が、海成の背筋に冷たいものを走らせる。
果たしてその時、自分はこの後輩にして友を倒せるだけの力を持てているだろうか。
【海】(……ま、それでもやるっきゃねぇな。こいつにだけは負けられねぇ!)
心の奥底から沸き上がってくる不安を振り切り、覚悟を決めた海成は、さらにヘッドシザースの締めを強めるべく、脚の力を増していった。
【諒】「ぐ……くっ……くっ……!」
仰向けの状態で必死に耐える諒真だが、海成の脚の圧力は容赦なく、胸と腹に痛みが走る。苦悶の表情を浮かべ、息も荒くなる。
【実】「これは……ヘッドシザース! 海成、築山を完全に捕えたか!?」
【解】「そうですね。築山の腕も脚も、完全に封じられています。スタミナを削るには絶好の状況です!」
【観】「おおおおお!!」「締められてるぞー!!」「諒真、動けない!」
諒真は顔をしかめながらも反撃のチャンスをうかがう。腕を必死に動かして海成の脚に抵抗をかけ、締め上げの力を分散させようと試みる。
【諒】「う、うぐ……まだ……まだだ……!」
【海】「逃がさねぇよ……ここまで来たら、もう絶対に逃げられねぇ!」
【解】「海成の脚の締めは極まってきています。築山はかなり厳しい状況です!」
【実】「観客も息を呑んで見守っています! これが決まれば一気に試合の流れが変わります!」
【観】「やべぇ……諒真、もう限界か!?」
【観】「海成、ここで決めろー!!」
両者とも消耗は激しい。諒真は必死に耐え、海成は集中を切らさずに締めの力を強めていく。
リング上に静かな緊張が漂い、観客の視線は二人に釘付けとなった。