アウトドアーズの海成と、ネクサスドリーマーズの築山 諒真のシングルマッチ。

私が1つの試合の生成絵を少しずつ長期間に渡って公開する企画がありまして、
その後に立板三 様から絵に合わせた小説をご提供いただいた作品になります。

一部、フィクションな内容も含まれており、ファイプロの興行やストーリーと異なる点もございます。

※絵はAI生成です。小説はAI生成ではありません。

立板三様のアカウントはこちら

Pixiv : https://www.pixiv.net/users/119865949
X : https://x.com/tateitasan

第二十一幕:諒真の覚悟

リングの上で、諒真が仰向けに倒れている。

目を閉じて、まったく動かない。

会場が静まり返った。

さっきまでの大歓声が嘘のように消え、息を呑む空気だけが漂う。

海成は立ち上がり、倒れた諒真を見下ろす。

【海】「……おい」

返事はない。

【海】(……マジか? いや、待てよ)

海成の胸に、ざわりとした不安が走る。

【海】(こいつ、もしかして演技か……?)

プロレスには「フェイント」がある。

わざとダメージを受けたフリをして、油断した相手にカウンターを叩き込む——そんな戦術だ。

だが、諒真はまだデビューしたばかりの新人だ。

【海】(……そこまで器用なマネ、できるのか?)

頭では分かっている。

でも、心のどこかで引っかかる。

【解】「これは……興味深い場面ですね」

冷静な解説の声が会場に響く。

【解】「海成も迷っているように見えます。相手が本当にダウンしているのか、それとも罠なのか……こういう心理の読み合いこそ、プロレスの醍醐味です」

【実】「海成、動きません! ここで仕掛けるのか、それとも様子を見るのか——!」

観客がざわめく。

【観】「早く行けよ!」
【観】「いや、危ないって……!」
【観】「諒真、起きろー!」

声が重なり、会場全体が緊張に包まれる。

海成は大きく息を吸った。

そして——迷いを振り切る。

【海】「……行くぜ!」

低く呟いた声には、覚悟が滲んでいた。

海成の目つきが変わる。

鋭く、まっすぐに——諒真を見据える。

海成の体が宙に舞う。

照明を背に、まるで影のように——。

空気を切り裂きながら、リングへと落ちていく。

その瞬間。

倒れたままの諒真が、わずかに目を開けた。

【諒】(……来る)

視界の端に、落ちてくる海成の姿が映る。

【諒】(これが……海成の、意地か)

諒真は歯を食いしばる。

体は動かない。避けられない。

でもーー。

【諒】(だったら、僕も……受け止めてやる……!)

諒真の目に、強い光が宿った。

第二十二幕:試合の行方

コーナー最上段。

海成は息を整えながら、眼下に倒れる諒真を見下ろした。

【海】(……ここで決める。今しかねぇ!)

汗が頬を伝う。

心臓が激しく打つ。

この一撃に、すべてを賭ける。

【海】「リョーマ! 受けてみろ!!」

海成は大きく跳躍した。

体が宙に浮く。

重力が体を引く。

空気を切り裂く鋭い音。

ダイビング・ボディプレスーー

海成の体が一直線に落下し、諒真の腹部へ叩きつけられる。

ドガァァンッ!!

軽量級でも、高さを使えば破壊力は倍増する。

コーナーからの落下エネルギーが、全体重となって諒真を押し潰した。

【観】「うおおおおおっ!!」
【観】「決まったァァァーーー!!」

会場が爆発する。

歓声と悲鳴が混ざり合い、リング全体を包み込んだ。

【実】「出たァァァ! 海成のダイビング・ボディプレス! 完ッ全ヒットォォ!!」

【解】「これは効きましたね! 高さと勢い、両方を生かした完璧な一撃でした」

諒真の体が跳ねる。

腹部に鈍い衝撃が走り、呼吸が止まる。

【諒】(くそ……っ、息が……!)
【諒】「げほぉっ!! がはっ……!」

痛みに顔を歪め、マットに手をつく。

肺から空気が抜け、視界が一瞬白く染まった。

体は動かない。

呼吸が浅く、力が入らないのだ。

【観】「あぁっ! 効いてる効いてる!!」
【観】「海成、行けぇぇぇ!!」

海成は好機を逃さない。

すぐさま諒真の体へ覆いかぶさる。

【海】(リョーマ、ここで終わりか!?)

膝をマットにつけ、全身の重みをかける。

フォールの体勢。

【海】「もらったぜ、リョーマ!!」

レフェリーが駆け寄る。

カウントが始まる。

【レ】「ワン!!」

会場が静まり返る。

次の瞬間、再び爆発的な声援が響いた。

【観】「頼む! 海成、勝てーーーっ!!」
【観】「諒真も諦めるなーーーっ!!」

【実】「これはフォールへの流れです! 海成、完璧なカバーに入った!!」

【解】「相手のスタミナを削りつつ、そのまま勝負を決める。非常に理にかなった戦術ですね」

レフェリーの手が二度目のカウントへ振り下ろされようとする。

【レ】「ツー……!!」

諒真の指先が、わずかに動いた。

【諒】(まだ……まだ僕は……!)

肩が浮くか。

それとも——。

リング上、二人の息遣いだけが響く。

決着の瞬間が、刻一刻と迫っていた。

【観】「どうなる!? どうなるんだァァ!!」

会場全体が、息を呑んで見守っている。

第二十三幕:両者の意地

静寂の中、レフェリーの腕が二度目のマットを叩こうとした――その瞬間。

ドン!

諒真の肩が、わずかに浮いた。

【観】「おおおーー!!」
【観】「上がった! 上がったぞ!」
【観】「築山ァァァ! まだ終わらないぞ!」

会場が一気に沸いた。歓声が天井を揺らす。

【実】「あーっと! カウント2! 築山諒真、ギリギリで肩を上げましたァァ! これは驚異的な粘り! まだ試合は終わらない!」

【解】「素晴らしい。これぞプロレスの醍醐味です。選手の意地と観客の期待が、ぶつかり合う瞬間ですね」

リングの上で、海成が舌打ちした。

チッ!

【海】「……耐えやがったか」

海成の目に、悔しさと闘志が混ざり合う。

【海】(まだ立つのか、こいつ……!)

だが、その表情には笑みも浮かんでいた。

闘いが続くことへの、本能的な喜び。

【海】「オラ、立てぇ! まだ終わりじゃねぇだろ!」

海成は素早く立ち上がると、荒々しく諒真の顎を掴んだ。

そのまま口元に指を突っ込み、無理やり引き起こそうとする。

【諒】「ぐっ……あ、ああっ……!」

諒真の体は限界を訴えていた。

だが、心はまだ折れていない。

歯を食いしばり、腕を必死に動かす。海成の腕に絡みつくように、立ち上がろうともがいた。

【諒】(僕は……ここで終わるわけには……!)

【観】「おおっ! 築山、立ち上がろうとしてるぞ!」
【観】「立てー! 築山ー! 負けるなァ!」
【観】「海成も本気だ! 引きずり出すぞ!」

【実】「海成が強引に築山を立たせにかかる! これは容赦ない!」
【実】「だが築山も必死に抵抗! 両者、一歩も引かない!」

【解】「プロレスならではの見せ方ですね」
【解】「本気で苛立っているというより……会場の熱気を、さらに高めようとしている」

海成は諒真を引き起こしながら、リングの中央へと引きずっていく。

その力強い腕に、諒真の体が引き寄せられる。

だが、諒真もまた、海成の腕にしがみつくように立ち上がろうとしていた。

【海】「立てよ……! オレとの勝負、まだ終わってねぇだろ!」

諒真の目には、まだ闘志が燃えていた。

【諒】「ああ……まだだ……!」
【諒】(僕は……ここまで来たんだ……!)

諒真の脳裏に、これまでの日々が蘇る。

厳しい練習。

挫折。

それでも諦めなかった自分。

【諒】(ここで倒れるわけには……いかない……!)

観客席からは、大きな歓声と拍手が沸き上がる。

ワァァァァァ!

会場全体が、二人を応援していた。

【観】「両方頑張れー!」
【観】「これがプロレスだ!」
【観】「最高だぜ、お前ら!」

【実】「両者ともに疲労困憊! それでもなお、激しい攻防は続きます! どちらが先に動くのか! 試合はまだまだ終わりません!」

【解】「こういう流れこそ、観客の心を掴むんです。どちらが先に立ち、先手を取るか……試合はここからが本番ですよ」

海成と諒真。

二人の視線が、リングの上で交差した。

互いの目に映るのは、敵ではなく――同じ夢を追う、もう一人の自分。

会場の熱気が、一層高まっていく。

第二十四幕:膝蹴り炸裂の瞬間

海成はマットに倒れた諒真の腕を掴み、無理やり引き起こした。

諒真の体はふらつき、立っているのがやっとだ。

その瞬間、海成は迷わず動いた。

【海】「これでもくらえッ!」

鋭い声とともに、膝が突き上がる。

諒真の腹に、全体重を乗せた一撃が突き刺さった。

ドスンッ

重い音がリング全体に響く。

【諒】「ぐぁぁぁぁぁうぅぅぅぅぅ!!」

諒真は腹を抱え、苦しそうにマットの上を転がった。

息ができない。

声も出ない。

体が動かない。

【諒】(さすが海成の膝蹴り……! こんな威力があるなんて……! パワーレスラーの僕でも、このパワーは真似できないかもしれない……)

諒真の頭の中で、痛みとともに驚きが渦巻く。

会場がどよめいた。

【観】「おおっ! すげぇ音がしたぞ!」
【観】「効いてる効いてる! あんな膝一発でマジで動けなくなるのか!」
【観】「海成、やるじゃねぇか!」

【実】「入ったァァァァ! 海成の膝蹴り炸裂ゥゥゥ! 築山の腹部にモロに入った! これは痛い! めちゃくちゃ痛い!」

【解】「これが海成の代名詞ともいえる一撃ですね。軽量級ながら全身の力を集中して、限界まで威力を高めた膝蹴り。パワータイプの築山をも倒すほどの破壊力です」

海成は息を整えながら、倒れた諒真を見下ろした。

【海】(やっぱりこいつ、タフだな……。普通ならもう動けないはずなのに)

諒真はマットに手をつき、震える腕で体を支えている。

まだ倒れ込まない。

立とうとしている。

その姿を見て、海成の口元がにやりと歪んだ。

【海】「立つ気か、リョーマ? ……ならもっとくれてやるぜ!」

挑発の声が会場に響く。

観客がざわついた。

【観】「おい、まだやるのか!?」
【観】「海成、容赦ねぇな!」
【観】「築山、負けんな! 立て!」

【実】「おおっと、海成の挑発ォォォ! 試合の流れはさらに加速するゥゥゥ!」

【解】「膝蹴りで大ダメージを与えた後、挑発で相手を精神的にも追い込む。ここが海成の試合巧者たる理由ですね」

諒真はゆっくりと顔を上げた。

【諒】(くそ……反撃のチャンスはくるはずだ。それまで待てるか……?)

痛みに耐えながら、諒真は片膝をついて立ち上がろうとする。

海成はその姿を見つめたまま、次の一撃の準備を始めた。

会場の空気が張り詰める。

観客の声援と怒号が交じり合い、試合の熱気はさらに高まっていく。

第二十五幕:友情と闘志

海成から追撃の膝蹴りをモロにもらってしまった諒真。

マットに倒れ込んだ諒真の口から、弱々しい声が漏れる。

【諒】「あ…ああ…あ…あ…あ……」

腹を押さえ、体を丸めてうずくまる諒真。

息が荒い。

海成の蹴りが深く入ったのだ。

【諒】(痛い…けど、ここで終われない。海成の前で、こんな姿は見せられない)

諒真の中で、ある記憶がよみがえる。

――二人で初めてリングに上がった日。

まだ何も知らなかった頃。

海成はいつも先を走っていた。

自分はその背中を追いかけるだけだった。

【諒】(でも今は違う。僕も、海成と並んで戦えるんだ……)

一方、リングの反対側で膝に手をついた海成は、荒く息を吐きながら叫ぶ。

【海】「おらぁ! どうしたリョーマ! いつまでもゴロゴロしてないで、さっさと立ちやがれ!」

声は荒々しいが、目は違う。

海成の視線は鋭く、しかし心配そうに諒真の体を追っている。

【海】(リョーマ、大丈夫か…? あいつ、無理してないよな)

海成もまた、過去を思い出していた。

諒真が膝の手術をした日。

リハビリで苦しんでいた日々。

それでもリングに戻ってきた友の姿。

【海】(だからこそ、全力でぶつかる。それが俺にできる、最高の敬意だ)

観客席が揺れる。

【観】「リョーマー! 立てぇー!」
【観】「海成ー! もっと攻めろー!」
【観】「どっちも本気だぁ!」

会場全体が一つの生き物のように、声援と怒号で波打っている。

リング上。

二人の呼吸音だけが、静かに響く。

諒真がゆっくりとマットに手をつき、体を起こし始めた。

海成は腰を落とし、構えを取り直す。

【海】(来い、リョーマ。お前の全部を見せてくれ)

二人の目が、再び交差する。

そこにあったのは、憎しみではなく――

互いを高め合う、最高のライバルとしての輝きだった。

第二十六幕:二人の絆

リングの照明が二人の選手を照らす。

片方は立ち、もう片方は倒れている。

海成の額から汗が一筋、マットに落ちた。

【海】(……いけるよな、リョーマ)

心の中で、海成は相棒に問いかけた。

声には出さない。

出せない。

だって今は、敵同士だから。

でも目は、諒真から離れなかった。

リングの上に倒れた諒真の腹が、痛みで震えている。

さっきの一撃が、思った以上に効いていた。

【諒】(く……ダメージが重い。海成の攻撃がここまでの威力があるなんて……)

諒真は歯を食いしばった。

拳をマットについて、体を起こそうとする。

だが、力が入らない。

腕が震える。

腹の筋肉が悲鳴を上げる。

【実】「うわああああっ! 築山、立ち上がれるかぁ!?」

実況の声が会場に響く。

【実】「腹部への一撃が、完璧に決まった! あの痛みは、尋常じゃない!」

【解】「ええ、あれは効きましたね」

解説者が冷静に分析する。

【解】「相手の力によって、ダメージの重さは変わります。まだ試合の中盤ですが……築山の体力は、確実に削られている」
【解】「そして何より、痛みは心にも響くんです」

観客席から声が飛ぶ。

【観】「リョーマ! 負けんなー!」
【観】「立てぇ! 立って反撃だ!」
【観】「これ、マジでヤバイ展開じゃね!?」

諒真の耳に、声援が届く。

【諒】(みんな……見てくれてるんだな)

もう一度、拳に力を込める。

今度は少しだけ、体が持ち上がった。

片膝をつく。

息を吸う。

吐く。

海成は黙って見ていた。

手を出さない。

それがルールだから。

それが、リングの上だから。

【海】「……来いよ、リョーマ」

今度は声に出した。

小さく、だけどはっきりと。

【海】(お前なら立てるよな。俺は知ってるぜ)

諒真の目が、海成を見上げた。

その目には、痛みと……それから、何かが燃えていた。

【諒】「……当たり前だよ」

かすれた声で、諒真が答える。

【諒】「こんなところで、終われない……!」

【実】「おおおっ! 築山、立ち上がろうとしている! これが魂だ! これがプロレスだぁ!」

リングの照明が、二人を等しく照らしている。

立つ者と、立とうとする者。

会場全体が、息を呑んで見守っている。

次の瞬間、何が起こるのか。

誰にも分からない。

でも全員が、知っている。

この試合は、まだ終わらない。

【海】(来いよ……リョーマ)

【諒】(見せてあげるよ……海成)

二人の心が、同時に叫んだ。

リングが、また熱くなる。

第二十七幕:煽る海成

【諒】「くっ……!」
【諒】(立てる……けど、回復にはまだ時間がかかる……!)

膝を震わせながら、築山は必死に体を起こす。右腕と腹部に痛みが走る中、海成の足にしがみつくようにして、ゆっくりと上半身を持ち上げる。

観客席からは緊張と期待の入り混じった声援が響く。

【観】「リョーマ! 立て! 立てぇぇ!」
【観】「ここで立たなきゃ終わりだ!」

その光景を見た海成は、痺れを切らしたかのように築山の顎を掴み、強引に引き起こす。

息を荒げながらも、海成の瞳には諒真への挑戦と激励が混じっていた。

【海】「まだ終わりじゃねぇだろ、リョーマ! 立てよ!」

【実】「海成が築山の顔を掴んで強引に引き起こす! 勝負はまだ終わらない!」

【解】「ここで無理にでも立たせるのは、試合の流れを作るための戦術でもあります。海成は勝負所を逃さない男です」

【観】「おおおおっ! 両者まだ諦めない!」
【観】「これは歴史に残る試合になるぞ!」

リング上、二人は互いに視線を交わす。立ち上がることで互いの闘志がさらに燃え上がる瞬間だった。

第二十八幕:立ち上がらせる海成

膝をつきながら、海成の足にしがみつくような形でどうにか体を起こす諒真。必死の形相ではあるが、その動きは鈍く、腹部を押さえたままふらついていた。

その姿を見た海成は、痺れを切らしたように諒真の顔を乱暴に掴み、無理やり引き起こす。

【海】「だらしねぇ奴だな……いつまでもしがみついてんじゃねぇよ!」

強引な仕草に場内からどよめきが走る。だが、その瞳の奥には仲間を信じる光が宿っており、ただ突き放すのではなく、叱咤するような色合いを帯びていた。

【観】「うわぁ、荒っぽい! でもこれが先輩の意地か!」

【実】「海成、強引に立たせたぁ!」

会場の空気は張りつめた弦のように震え、誰もが次の一瞬を固唾を呑んで見守っていた。

第二十九幕:諒真の見切り

そして海成は、立たせた諒真の腹部を目掛けて渾身の膝蹴りを叩き込もうとした。

【海】「食らえ、リョーマ!」

だが――その一撃が突き刺さることはなかった。

諒真はすでに読んでいたのだ。海成が再び腹部を狙ってくることを。わずかに体をずらし、鍛え上げた腹筋と腕で膝の軌道を押さえ込むようにブロックした。

【海】「なにぃ!?」

【諒】「……海成がこう来ることは、読んでいたよ!」

【観】「おおおおおっ!!」
【観】「止めたぁぁぁぁ!!」

【実】「なんと! 海成の必殺の膝蹴りを、築山がキャッチしました!」

【解】「これは見事な読みですね。あれだけ効かされていた腹部を、逆に盾にしてブロックとは……! 新人らしからぬ冷静さです!」 

片足をがっちり掴まれたまま、バランスを崩す海成。
一方の諒真は、苦悶に歪んでいた顔から一転、闘志を漲らせた瞳で海成を見据えていた。

【海】(やるなぁ、リョーマの奴……。まさか正面から止めにくるとはな。さて、ここからどう動くか……)

【諒】(よし、もう大丈夫だ。ダメージは回復した。ここからは僕の反撃タイムにしてやる!)

その瞳はギラギラと輝き、まるで「次は僕の番だ」と宣言しているかのようだった。

その視線を受け止めた海成は、思わず心の中で苦笑いを浮かべる。

【海】(おいおい……これから仕掛けますって顔を堂々とだすんじゃねぇよ、リョーマ。……しゃあねぇな、分かったよ。ここは先輩として、お前の反撃に付き合ってやる!)

【観】「やべぇ! これ、反撃くるぞ!」

【実】「試合の流れが大きく変わるかもしれません!」

【解】「ここからの展開次第では、一気に逆転もありますよ!」

観客の声援が渦を巻く中、諒真はついに動き出す。

掴んだ海成の足をぐいと引き込み――

第三十幕:反撃の諒真

プロレスとは、即興の格闘演劇である。

観客を楽しませるため、選手たちは役者であり、同時に鍛え上げた肉体と技を武器とする演者でもある。

その場の空気を読み合い、互いの力をぶつけ合いながら、最高の劇を作り上げていく。

リング上では、次なる演目を決めた諒真の意図を察した海成が、まず動きを見せた。

【海】「いつまでも俺の脚、掴んでんじゃねぇよ!」

拘束から逃れようと、海成は掌底によるアッパーを築山のアゴめがけて放つ。

しかし諒真はわずかに体をずらし、その一撃をさらりとかわす。

そして次の瞬間――諒真は迷わず想定していた一手に移った。

片足立ちで不安定な姿勢の海成の体を、力強く引き倒す。掴んでいた左足を抱きかかえるように引き寄せ、そのまま圧力を加えながら、じりじりと脚を引き裂く体勢へ持ち込む。

【海】「な、なにぃぃ!? あぎゃ! いて、いででででで!!」

引き倒されることは予想していた海成だったが、まさか脚を真っ二つに裂かんばかりに攻められるとは思ってもいなかった。

【海】(こ、こうくるかよ……! って、マジでいてぇ! おいこのバカ、少しは加減しろっての!!)

だが「加減」はリング上に不要だ。観客にダメージを伝えるためにも、諒真はしっかりとした圧を込めている。

【実】「これは築山、得意のまた裂き! 海成を完全に捕らえた!」

【解】「ええ、脚攻めは地味に見えますが、蓄積すればジャンプ系の大技に響きます。試合全体を見据えた巧みな戦略ですよ」

【観】「おおおおーーーっ!!」

しかし、海成の体は想像以上に柔軟だった。悲鳴を上げつつも、肝心のダメージはそこまで深刻ではない。

諒真もそれを察すると、次なる展開へと移行した。