アウトドアーズの海成と、ネクサスドリーマーズの築山 諒真のシングルマッチ。
私が1つの試合の生成絵を少しずつ長期間に渡って公開する企画がありまして、
その後に立板三 様から絵に合わせた小説をご提供いただいた作品になります。
一部、フィクションな内容も含まれており、ファイプロの興行やストーリーと異なる点もございます。
※絵はAI生成です。小説はAI生成ではありません。
第三十一幕:吊り上げられる海成
脚を掴んだまま、ゆっくりと立ち上がる。海成の体は逆さまに吊るし上げられ、まるで玩具のように持ち上げられる。

【海】(お、おいおいおい! 今度は何するつもりだ、リョーマ!?)
必死に身をよじる海成だが、築山の強靭な腕にがっちりと固定され、逃れることはできない。
会場は次の大技を予感し、息を呑んだ。
【実】「築山、完全に主導権を握りました! この体勢から何を仕掛けるつもりなのか!」
【解】「逆さ吊りはそのままパワーボムなどの技にも移行できます。観客の期待を一気に引き上げましたね」
【観】「リョーマ! 決めろーーーっ!!」
リング上は、嵐の前の静けさに包まれる。
海成の視界は逆さまに歪み、観客の歓声が渦巻く中、諒真の腕の中で次の瞬間を待つしかなかった――。
第三十二幕:叩きつけられる海成
自分にはないパワープレイの数々で翻弄してくる諒真の技の数々に、海成は関心しつつも、一抹の不安を感じていた。
諒真は時に「加減」というものを知らないことがある。
やりすぎは、観客を楽しませるどころか興ざめさせてしまう場合があるのだ。
プロレスは観客あってこその舞台である――それを海成は、兄貴分であり指導役でもあるアウトドアーズの先輩レスラー、横水健太から何度も耳が痛くなるほど言い聞かされてきた。
デビュー間もない諒真は、まだネクサスドリーマーズの先輩たちからそのあたりの「空気」を教わっていないだろう。
他団体の選手であるため多少のおせっかいにはなるが、レスラーの先輩として海成がその指導をするべきだと判断する。
そんなことを考えている間に、諒真は次の行動に移っていた。
左足で海成を掴み、逆さ吊りの状態のまま――なんとそのままの姿勢でマットへ叩きつけたのである。

【海】「んな!?」
海成の体が弧を描いてマットに叩きつけられ、衝撃で息が詰まる。鍛え上げた体であっても、逆さ吊りからの投げは体勢を崩しやすく、受け身を取るのも容易ではない。
【実】「なんと築山! 逆さ吊りのまま海成をマットに叩きつけた!」
【解】「これは危険を伴う大技です。若手ながらパワーがありすぎるため、観客はもちろん本人も驚きます」
【観】「おおおおーーーっ!!」
リング上に響く衝撃音と、観客席からのどよめき。
海成は思わず息をのむ。諒真のパワーは計算外だが、ここで慌てるわけにはいかない――。
第三十三幕:フォール
ぽいっと、まるでいらなくなったおもちゃを投げ捨てる子供のような仕草で諒真は海成を放り投げた。
マットの上に叩きつけられ、仰向けに倒れた海成の体に駆け寄ると、すかさず覆いかぶさってフォールに入る。

【諒】「いくぞっ!」
【実】「おっと!築山、海成をマットに叩きつけて即座にフォールだ!」
【解】「これは若手ながら大胆な攻めですね。海成も油断できません」
【観】「おおおーーっ!!」
ワン!
ツー!
第三十四幕:試合再開
――しかし、海成が全身を弾くように肩を跳ね上げた。

【海】「まだまだぁ!!」
【実】「カウントはツー! 海成、まだ沈まない!」
【解】「ええ、さすがにこれでは倒せませんね。ただ、築山が即座にフォールへ入ったのは悪くない判断です。勢いを切らさないための大事な動きですから」
【観】「うわぁぁぁ! 惜しい!」
【観】「あとちょっとだったのに!」
観客席からは悔しさと期待が入り混じった歓声が響き渡る。
【海】「……まだだ、俺はまだ立てるぜ!」
一方、今のフォールで勝負を決めるつもりだった諒真は、右腕の負傷による痛みで思うように体重をかけられず、フォールが完全には決まらなかった。
【諒】(くそ……これほど傷が響くとは……!)
プロレスラーにとって怪我はつきものだが、自由に動かせない部位があるというのはやはりもどかしい。
諒真は無念そうにマットを拳で叩き、悔しさをあらわにする。
【解】「やはり負傷は大きなハンデになります。ここからどう立て直すかが鍵ですね」
【観】「おおお……がんばれ、築山!!」
第三十五幕:啖呵を切る海成
【海】「やりやがったな……この野郎!!」
ついに、もともと短気な性格の海成の堪忍袋の緒が切れた。
後輩だから――それも怪我でデビューが遅れた不器用な奴だから――と気を使い、優しく接してやったつもりだった。だが、その気遣いに甘えて好き放題やられたのでは、もはや我慢ならない。
ここまでやれる相手に、もう手加減は不要だ。
怒りのボルテージを急上昇させた海成は、諒真の額に自分の額をゴツリと押し当て、ギラつく視線で真っ直ぐに睨みつけた。

【海】「お前にはぜってぇ負けねぇ……!」
【諒】「……それは僕の台詞だ、海成!」
【実】「おおっと!両者、額を突き合わせてにらみ合いだぁ!!」
【解】「これは火花が散ってますね。まさに意地と意地のぶつかり合いです」
【観】「うおおおーーっ!!」
――ほらみろ。まったく可愛げのない後輩だ。
海成は心中で毒づく。
やはりここは、先輩レスラーとして“立場の違い”を思い知らせてやる必要がある。もっとも、実際には二人のデビュー歴には、わずか数か月の差しかないのだが……いや、そんなことは今は関係ない。
そもそも「僕はパワーレスラーです」と言わんばかりに気取ったその顔つきが、どうにも気に入らない。
【海】「まずはそのイキった面、叩き直してやるよ!」
海成の瞳がギラリと光り、次なる猛攻の幕開けを告げる。
第三十六幕:力比べ
【海】「おらぁ!」
海成は負けん気全開で、築山に正面から掴みかかった。

挑発の意図は明白――「力比べだ、乗って来い」とでも言わんばかりの構えである。
その見え透いた誘いに、諒真が応じぬはずもない。
【諒】「上等だ……やってやる!」
海成の伸ばしてきた手をガッチリと掴み返し、両者は力比べに突入する。
最初はアイコンタクトを交わしながら呼吸を合わせる“格闘演劇”だった。だが、いつの間にかその空気は崩れ、若きルーキー同士の意地と意地が激突する、全力の喧嘩試合へと変貌していた。
当然のことながら、パワーの差は歴然だ。
海成が全力で押し込もうとも、諒真の巨体はびくともしない。むしろその圧倒的な力に押し返され、海成の身体はじりじりと折れ、ついにはマットへと崩れていく。
【海】「ぐ……ぐぬぬぬ……ああああああ!!!」
歯ぎしりをしながら必死に押し返そうとする海成。しかし、力ではどうあっても敵わない。
【実】「おっと!これは完全にパワーの差が出ました!築山が押し潰していく!!」
【解】「ええ、体格と筋力では築山に分があります。海成は気持ちで押そうとしていますが……これは苦しい!」
【観】「リョーマ!押せ押せぇーっ!!」
【観】「負けるな海成ー!!」
会場は両者に割れて大声援。
それぞれのファンが声を枯らして応援する中、力比べはますます熱を帯びていく。
第三十七幕:無理な勝負
【実】「おっと、ここで築山が反撃に出た! さっきまで押され気味だったが、態勢を立て直したぞ!」
【解】「海成の挑発に本気で火がつきましたね。彼は馬鹿にされたと感じた瞬間、一気に闘志が燃え上がるタイプです」
【諒】「海成! この程度の力で勝負しようだなんて、僕を見くびるなよ!」
【海】「わかってるよ、んなこと! このやろう! こんちくしょうめ!!」
二人のやり取りは、まるでコントの掛け合いのようで、観客の間からは思わず笑い声がこぼれる。しかし、リングの上にいる本人たちは一切ふざけてなどいない。真剣そのもの、大真面目な勝負だ。
【観】「ははは! なんかコントみたいだな!」
【観】「でも、やってる本人たちはマジだぞ! この温度差が面白ぇ!」
海成は自分でもバカだと思うほどの負けず嫌い。勝負となれば引くに引けず、全力で挑んでしまう。だが諒真は違う。彼はそれを「侮られた」と受け取り、さらに気迫を強めていったのだ。

【実】「おっと、築山が一気に攻め込んだ! 海成の手首をしっかりと掴んで離さない!」
【解】「あの捻り方はいやらしいですね。手首から肘、肩にまで一気に負担がかかる。全体重をかけて押し込まれたら、抜けるのは至難の業です」
第三十八幕:諒真の力攻め
【海】「お、おい馬鹿野郎! 俺を潰す気か!?」
【諒】「そうだ! 僕の力を思い知れ、海成!」
【海】「ちょ、ま、おま、やめ…くだ…ぐぎゃああああああああああ!!!」
遂に諒真が海成をねじ伏せた。彼は倒れ込む海成の背中に馬乗りとなり、両腕を背後に極めて強烈に引っ張る。肩関節が逆方向に引き絞られ、海成はたまらず絶叫する。

だが、諒真自身は比較的楽な姿勢で技を仕掛けているため、その間に密かに体力を回復していた。彼の腕のダメージがまだ深刻であることを隠す狡猾な立ち回りだった。
【解】「これは賢い戦法ですね。体力を消耗せずに技を決めつつ、相手を痛めつけながら自分は休む。築山、試合巧者の一面を見せましたよ」
【諒】(よし、仕掛けるぞ!)
息を整えた諒真は、ここぞとばかりに次の一手へ移る。掴んだ海成の両腕をさらに後方へ引き絞り、背中を弓なりに反らしていく。

【実】「これは危険だ! 築山が一気に背中を反らせにかかった! 海成の背骨が折れんばかりの角度だ!」
【観】「うわぁあああ! やべぇぞこれ! 海成、折れる折れる!」
第三十九幕:海成の我慢
【諒】「さぁ、海成! ギブアップしろ! ギブしなければ、このまま背中をへし折ってやるぞ!!」
【海】「おま、そ、そんな冗談きつ……あ、あああああああああああああ!!!」
諒真の強烈なブリッジロックによって、海成の体は無理やり弓なりに反らされる。背筋が悲鳴を上げ、耐え切れず声を張り上げる海成。

【諒】「ギブか!? まだしないのか、海成!!」
【海】「の、のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!! 俺はギブなんかしねぇぇぇぇ!!」
【実】「これはすさまじい根比べだ! 築山が完璧に極めているのに、海成は絶対にギブアップしない!」
【解】「海成のタフネスは本物ですね。普通ならとっくに肩を叩いて降参していますよ」
【観】「すげぇ……! あんなの絶対ギブるだろ!」
【観】「海成、化け物かよ!」
第四十幕:海成の底力
諒真はかなりの時間、海成の体を絞め上げ続けた。しかし海成は、持ち前のタフネスと底なしのバイタリティで耐え抜いたのだ。ギブか否かの攻防は続いたが、ついにスタミナを使い果たした築山が技を解くことで、この絞め上げ合戦は幕を閉じる。
【諒】(この腕さえ万全なら……いや、単純に海成の底力を認めるべきだな)
ヒール(悪役)レスラーであれば、ここで迷わず腰や頭に追撃を加え、反撃の芽を摘んでいただろう。しかし築山はベビーフェイス(善玉)を志すレスラーであり、何よりプライベートでは友人でもある海成に対して、そこまで非情な一撃を加えることにためらいがあった。結局、諒真は攻撃の手を止め、様子をうかがってしまう。

【解】「ここで甘さが出ましたね。ベビーフェイスゆえの判断ですが、相手が海成では命取りになるかもしれません」
【実】「そうだ! 攻めを止めた隙を海成が見逃すわけがない!」